海洋プラスチックごみとマイクロプラスチックはどこからくるの?

mymizu Blog Series「エコへの第一歩 with Kanae」

当シリーズは、mymizuメンバーの長谷川佳苗と一緒に環境問題、そして私たちがすぐにでもできるエコ活動について学び、新しいライフスタイルへの第一歩になることを目標としています!


 

みなさん、突然ですがプラスチックを食べたことありますか?

多くの人は「ない」と答えると思います。

でも、実は私たちは知らず知らずのうちにプラスチックを食べているみたいなんです。

1週間にしてクレジットカード1枚分(5g)、1ヶ月にしてハンガー1本分(21g)

出典:WWF

出典:WWF

プラスチックは私たちが食べる食事にも、飲む水にも、吸い込む空気にも含まれています。

プラスチックは全ての人の体内に知らないうちに侵入しています。

あなたの体の中にも、あなたの家族の体の中にも・・・

なんでこんなことになるのか不思議ですよね?

綺麗で安全な日本に住んでいると普段は気付かないかもしれません。

私たちのほとんどがゴミを出す時、各自治体のルールに従い、指定された場所にきちんと分別をしてゴミ出しをしています。

でも現実には少なくとも毎年800万トン、多くて1,200万トンのプラスチックゴミが世界中の海に流れ着いています

この800万トンという数字は東京ドームに換算すると約7個分にあたります。

つまり、毎年東京ドーム7個分のゴミが海に流れ着いているのです。

また、2050年までに海の中に存在するプラスチックの重量が魚の重量を超えるかもしれないという話も聞いたことがあるかもしれません。

この海洋ゴミの内8割が街から来ていることを知っていますか?

日本の街は綺麗と思っていても、目を向け始めると街中にはたくさんのゴミが落ちていることに気付きます。

こういった街中に散らばるゴミは、ごみ収集の過程できちんと口が結ばれていないゴミ袋から溢れたり、カラスがゴミ袋をつつき破ることで散乱したり、ふたのないゴミ箱やいっぱいになった自動販売機の脇にあるゴミ箱から飛ばされたり、信じたくはないけどポイ捨てをする人からも発生します。

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こうして街中に散らばったゴミは風に飛ばされ雨に流され、排水溝から川に流れ、最終的には海に流れ着きます。

海洋ゴミの約70%以上を占めるプラスチックゴミは海に流れ込んだ後、海流に乗り海洋を漂い、また海底に沈みこみ、またあるものは海岸に打ち寄せられます。

例えば私たちがコンビニでもらって早い時は数秒で捨ててしまうレジ袋。

このレジ袋は海に漂っていると、ある生き物に似てみえるのですがなんだと思いますか?

答えは、、、

「クラゲ」です!

ではクラゲを餌にしている動物はなんでしょうか?

想像がつく方も多いかと思います。

そう、「ウミガメ」です!

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このウミガメが、海に漂うプラスチック製のポリ袋を餌と間違えて飲み込んでしまい消化管が詰まってしまったり、消化管の内部が傷つけられたり、プラスチックを食べることで満腹だと勘違いしてしまい本来食べるべきものを食べず栄養失調になったり、最悪の場合は餓死してしまうこともあります。

ウミガメ以外にも、毎年世界中で10万匹以上の海に棲む哺乳類がプラスチックを誤って摂取したり海洋ゴミに絡まることで命を落としています。

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これまでに少なくとも690種類以上の野生動物が被害にあっていると言われています。その内、15%以上は絶滅危惧種に指定されている動物たちです。

ウミガメは52%海鳥にいたっては90%以上が生涯のうちにプラスチックを一度は摂取していることもわかっています。

90%以上なんてもう信じがたい数字ですね。

マイクロプラスチックのでき方と健康への影響

さて、ここまでは海洋ゴミ全般の話でしたが、ここからが本題。

マイクロプラスチックはどのように誕生して、私たち人間にどんな影響があるのでしょうか?

大海原に漂うプラスチックを想像してみましょう。

海洋に流れ着いたプラスチックは波に打たれ、紫外線にさらされ、少しずつ小さく砕けていきます。そして5mm以下までの小さな破片に砕けたプラスチックがマイクロプラスチックと呼ばれるのです。

このマイクロプラスチックの厄介なところは小さく砕けていく過程でそのデコボコした表面に海中に漂う様々な汚染物質が吸着していくことです。

どんなに透明で綺麗に見える海にも水と混ざり合わない工業系・農業系の化学物質が漂っています。

この有害化学物質には、過去に製造と使用が禁止されたDDTやPCBといった体内に残留性のある有機汚染物質(POPs)が含まれています。

また、プラスチックそのものにも、すでに難燃剤や紫外線吸収剤など人体に有害な添加剤や生殖機能に影響する内分泌かく乱作用をもつ化学物質(環境ホルモン)が含まれています。

こうして、毒性の高くなったマイクロプラスチックを動物プランクトンや魚が餌と間違えて食べているのです。

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では、魚が有害化学物質を含むマイクロプラスチックを食べるとどうなるのか?

プラスチックに付着した毒素が体内に侵入し、油を含む消化液に溶け出して脂肪などの組織に毒素が蓄積されます。そして蓄積された脂肪をエネルギーとして使うたびに毒素が体を巡り、繁殖や代謝、臓器(腎臓、肝臓)の働きが妨げられます。

また、その魚がより大きな魚に食べられることでマイクロプラスチックの濃度はどんどんと上がっていくことになります。

こうして生物濃縮を繰り返した魚を食べているのは誰なのか?

私たち人間ですね。

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人間も魚と同じように脂肪を持っているので、残留性有機物を引き寄せ、体内に溜めてしまいます。

マイクロプラスチックが人間の健康にどのような影響を与えるかについての研究は始まったばかりで、まだ解明されてはいませんが日本の沿岸や近海各地で採集されたマイクロプラスチックにも有害物質は含まれています。

実際に東京湾で釣った64匹のイワシのうち、77%にあたる49匹のイワシの体内からマイクロプラスチックが出てきたという調査結果もあります。

また、インターナショナル・ペレット・ウォッチによると、2010年の時点で海岸近くの汚染が一番ひどい都市はサンフランシスコについで東京が世界51箇所の沿岸で第2位でした。

研究の中では、日本の海岸線近くで採取されたプラスチックの粒子に付着した有害物質の濃度が周囲の海水に比べ100万倍も高いこともありました。

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マイクロプラスチックを摂取することによって大腸ガンや乳がんを始めとするがんの発生率が上昇すること、男性で言えば精子の数が減少し生殖機能が低下すること、また子供の発達障害を引き起こす可能性があると言われています。

奥が深いマイクロプラスチック、そして海洋プラスチックゴミの問題は一つの記事にまとめると長くなりますので、前編と後編に分けます。

後編では世界と日本のプラスチックゴミの現状マイクロビーズの問題マイクロプラスチックを減らす方法について取り上げていきます。お楽しみに!!


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【メンバー紹介:長谷川佳苗】

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四六時中エコなことを考えている「エコフリーク」なわたしはみなさんが自分のためにも環境のためにも持続可能で健康的なライフスタイルを送るヒントを見つけるお手伝いをできればと思い、当ブログを書かせていただいています。地元名古屋から始まった地球に優しい生活への旅。これまでゴミ拾い、ビーガンピクニック、ヨガ、気候変動に関するプレゼンテーションなどのイベントを企画して、350名以上の方と関わってきました。また、政府に気候変動への取り組みを訴えている国際的な団体Fridays For Future Nagoyaの主要メンバーも務め、元アメリカ副大統領のAl Gore氏主催のClimate Reality Leadership training を受講し気候危機に関する知識も深めてきました。環境問題について話すことが「意識が高いこと」ではなく当たり前になる社会を目指して、オーストラリアから情報を発信していきます!