サンゴにも肌にも優しい日焼け止めの選び方

mymizu Blog Series「エコへの第一歩 with Kanae」

当シリーズは、mymizuメンバーの長谷川佳苗と一緒に環境問題、そして私たちがすぐにでもできるエコ活動について学び、新しいライフスタイルへの第一歩になることを目標としています!


 

日焼け止めをうっかり塗り忘れたままビーチで寝てしまって背中が真っ赤に焼けてしまった。。変な日焼け跡ができてしまって恥ずかしい。

みなさんにはそんな経験がありますか?

私は最近たくさんあります。

日本の5倍の紫外線の強さを誇るオーストラリアに住んでいると皮膚ガンの予防のためにも日焼け止めは毎日の必須アイテムです。

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でも、紫外線対策のために当たり前に使っている日焼け止めが実は海に悪影響を及ぼしています。

海に入る前に塗る日焼け止め。

いくら肌に浸透したように見えても肌に塗られた日焼け止めは海に入ると水に流れ出てしまいます。

調査によると、世界中で年間14,000トンの日焼け止めが海に侵入しているようです。

「でも、こんなに広大な海なんだから少しぐらい日焼け止めが流れ出たって大丈夫なんでしょう?」と思うかもしれません。

しかし実際のところ、この流れ出た日焼け止めは海全体に素早く均等に広がるわけではなく、そのままその周辺に留まってしまいます。美しいサンゴ礁や生態系が豊かな海に、そのまま蓄積していくのです。

では、サンゴが日焼け止めに含まれる化学物質を吸収するとどうなるのか?

出典:Alex Kydd (Ningaloo reef)

出典:Alex Kydd (Ningaloo reef)

日焼け止めの化学物質はウイルスの繁殖を促し、サンゴの繁殖と成長のサイクルを妨げ、やがて白化や死を招く恐れがあります水温が高くなりすぎた場合と同様の反応を示すのです。

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出典:Chasing Coral左)白化/死滅したサンゴ 右)健康なサンゴ

出典:Chasing Coral

左)白化/死滅したサンゴ 右)健康なサンゴ


実際に日本でも沖縄の石垣島と西表島の間に広がる国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」(せきせいしょうこ)で2016年に半分以上が死滅、97%が白化するという悲しい出来事が確認されています。

また、通常の日焼け止めに含まれる科学成分はサンゴだけでなく、イルカ、魚、ウニ、エビ、貝、藻類などあらゆる海の生き物に悪影響を及ぼします。

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自分の体を守るために使っていた日焼け止めが知らないうちにサンゴと海の生き物に害を及ぼしているなんて悲しいですよね。

なので、この記事では「自分自身とサンゴを守るための日焼け止め」を選ぶコツをご紹介します!

サンゴにも肌にも優しい日焼け止めの選び方

  • ミネラルベースの日焼け止めを選ぼう!

出典: sunbutter skincare

酸化亜鉛 (zinc oxide) もしくは酸化チタン (titanium dioxide) でできている日焼け止めならサンゴにも人間の体にも優しいです。

  • ナノ粒子を含まない日焼け止めを選ぼう!

粒子が大きい日焼け止めは海に流れてもサンゴが誤って吸収してしまう心配がありません。粒子が大きいということは塗ったときに肌の奥の奥まで浸透しにくいので、洗い残しも起こりにくく、サンゴだけでなく私たちの体にも安心です。

 

  • ウォータープルーフの日焼け止めだとなおよし!

ウォータープルーフの日焼け止めは肌に留まりやすく、海の水に流れにくい利点があります。

  • 子供に優しいものはサンゴにも優しい。

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子供用の日焼け止めはケミカルの入っていないミネラルベースの日焼け止めが多いです。サンゴも赤ちゃんもハッピーに!

  • オクシベンゾン、オクチノキサートを避けよう!

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この代表的な2つの成分、オキシベンゾンとオクチノキサート以外にも注意すべき日焼け止めの成分を上記の通りまとめましたので是非ご活用ください。また、オクシベンゾン、オクチノキサートを使ってないというだけで「リーフセーフ」と掲げて販売されている商品もあるので注意が必要です。購入する前に成分表を見て、自分の目でちゃんと確認する習慣をつけることが大切です。

  • スプレータイプの日焼け止めはNG!

噴射した際に体にかからず砂にかかった日焼け止めは海に簡単に侵入してしまいます。肌に直接塗るクリームタイプの日焼け止めをできるだけ選ぶとサンゴも喜びますよ。

日本で買えるサンゴに優しい日焼け止め6選

mymizuコミュニティのみなさんから頂いたおすすめ情報も参考にした海やサンゴに優しい日焼け止めがこちらです!

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【F organics】UV プロテクトベース SPF33/PA+++

【CORALILY】サンゴに優しい日焼け止め SPF50+/PA++++

【NEAL'S YARD REMEDIES】海と肌を守るオーガニックUV SPF38/PA++++

【WELEDA】エーデルワイスUVバリアクリーム SPF50+/PA+++

【moaniORGANICS】UV SKIN PROTECT MILK SPF50+/PA++++

【ALL good】サンスクリーン バター SPF50+

【Little Hands Hawaii】海と子供に優しいハワイの日焼け止め SPF35, SPF40

※商品の値段は公式販売サイトを参考にしたものなので、お店によって異なるかもしれません。また、mymizuは上記会社とは関係がなく、紹介料なども一切受け取っていません。商品について質問等ございましたら、直接上記会社へお問い合わせください。

ただ、「リーフセーフ」「サンゴに優しい」「オーガニック」「赤ちゃんにも安心」と書かれていてもその日焼け止めが100%サンゴ礁に無害であるとは限りません。

こんなことを言ったら元も子もないと言われてしまいそうですが、いま世の中に出回っているサンゴに優しい日焼け止めは、国の基準がなく、「サンゴ礁に全く害を及ぼさない!」と科学的に証明されている商品は実はまだ存在しません

なので私たちに求められるのは、サンゴに優しい日焼け止めであったとしても塗る量をできるだけ減らすことです。

そのためには、この3つのコツを是非参考にしてみてください!

サンゴに優しい肌の守り方

  • SPF効果のある服を着よう!(ラッシュガード、Tシャツ、レギンス、帽子)

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一部を除いて日本で手に入る日焼け止めはプラスチックボトルのものが多い消耗品です。使い切りの日焼け止めよりももっと長持ちする服をうまく活用して見てはいかがでしょうか?露出している肌が少なければ少ないほど海に流れ出る日焼け止めの量も減ります。

  • 日陰を有効活用しよう!

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特に日差しの強い10時から14時の間は「日陰を探すゲーム」をしたり、パラソル、ビーチテントを使って身を守りましょう。

  • 15分待って!

日焼け止めを塗ってから15〜20分待つことで成分が肌に浸透して、せっかく塗った日焼け止めをそのまま海に洗い流さずにすみます。

さて、日本ではまだまだ規制がされていないケミカルベースの日焼け止めですが、世界各地では既に使用や販売が禁止されているところもあります。

では、実際にどの国が規制をしているのか一緒に見てみましょう!

日焼け止めの使用・販売が禁止されている国

パラオ

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パラオは2020年1月に世界で初めて日焼け止めの禁止を制定した国です。

オキシベンゾン、オクチノキサートを含む10の化学成分が配合されている日焼け止めの使用、販売及び所持が一切禁止となりました。禁止されている日焼け止めを販売している店舗では、最高1,000米ドルの罰金が科せられる可能性があり、観光客からも入国時にケミカルベースの日焼け止めは押収されます。

ハワイ(アメリカ)

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2018年に Hanauma Bay にて撮影

2018年に Hanauma Bay にて撮影

日本にとっては馴染みのある旅行先のハワイでも2021年1月よりオキシベンゾンおよびオクチノキサートを含む日焼け止めを禁止することが決まっています。

実際に私が2018年秋にハワイに訪れたときには、既にケミカルベースからミネラルベースの日焼け止めへ切り替えるように呼びかけているビーチや街がたくさんありました!

キーウェスト(アメリカ)

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米国大陸で最大のサンゴ礁の本拠地であるフロリダ州キーウェストはハワイに続き、2021年よりオキシベンゾン、オクチノキサートを含有する日焼け止めの販売を禁止することを発表しました。

バージン諸島(アメリカ領)

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カリブ海に浮かぶバージン諸島では2020年よりハワイで禁止している2つの化学成分オキシベンゾンとオクチノキサートに加えてオクトクレリンも含む3つの化学成分を含有する日焼け止めを禁止することが発表されました。

カリフォルニア(アメリカ)

カリフォルニアもハワイとフロリダの動きを受けてケミカルベースの日焼け止めの販売を禁止することが検討されています。違反者には500米ドルの罰金が課せられる予定です。

ボネール島

カリブ海のボネール島でも2021年からオキシベンゾンおよびオクチノキサートが含有されている日焼け止めの販売を中止する動きが進められています。

1980年から比べるとカリブ海にあった約90%のサンゴ礁は既に失われてしまいました。カリブ海の島々に住む方たちがサンゴ礁を守ろうと今力を合わせています。

アルバ

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またまたカリブ海の島です。アルバでは2020年からオキシベンゾンを含む日焼け止めの販売が禁止となりました。また、アルバは日焼け止め以外にも、”すべての”使い捨てプラスチックを2020年に完全禁止することを発表しています。す・べ・て・のです!このニュースを聞いた時は私も嬉しさのあまり叫びました。素晴らしい取り組みですね!

メキシコの一部

美しいセノーテやダイビングスポットがたくさんあるメキシコでは一部の観光スポットでケミカルベースの日焼け止めが禁止されています。国として禁止令が出る日も近いという噂です。

いかがでしたか?

もしかしたら聞いたことがない国や地域も含まれていたかもしれませんが、世界各国ではケミカルベースの日焼け止めを禁止する動きが高まっています。

サンゴがもたらす人間と動物への恩恵

ここまで散々「サンゴを守ろう!」と話してきましたが、なぜそもそもサンゴを守る必要があるのでしょうか?


サンゴ礁は海の生態系そして地球に生きているすべての生き物の命を支えてくれています。サンゴ礁が死滅するとそこに生息している実に9万種類の魚達も行き場を失ってしまいます。

出典:Alex Kydd (Ningaloo reef)

出典:Alex Kydd (Ningaloo reef)

サンゴ礁は海の生き物以外に、陸上で住む私たちにもその資源を分け与え、時には天然の優秀な防波堤として私たちを守ってくれています。

しかし、そのサンゴがいま自然災害気候変動、また私たちの生活の仕方によって危機的状況にさらされています

 

ミネラルベースの日焼け止めは今までドラッグストアで気軽に買っていた日焼け止めよりは少し高いかもしれません。

でも、いつもより少し奮発するだけでで自分のお肌にもサンゴにも優しい日焼け止めは簡単に手に入ります

まずは新しいお気に入りの日焼け止めを探すことから始めてみませんか?

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【メンバー紹介:長谷川佳苗】

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四六時中エコなことを考えている「エコフリーク」なわたしはみなさんが自分のためにも環境のためにも持続可能で健康的なライフスタイルを送るヒントを見つけるお手伝いをできればと思い、当ブログを書かせていただいています。地元名古屋から始まった地球に優しい生活への旅。これまでゴミ拾い、ビーガンピクニック、ヨガ、気候変動に関するプレゼンテーションなどのイベントを企画して、350名以上の方と関わってきました。また、政府に気候変動への取り組みを訴えている国際的な団体Fridays For Future Nagoyaの主要メンバーも務め、元アメリカ副大統領のAl Gore氏主催のClimate Reality Leadership training を受講し気候危機に関する知識も深めてきました。環境問題について話すことが「意識が高いこと」ではなく当たり前になる社会を目指して、オーストラリアから情報を発信していきます!